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地べたを這いつくばって、GTを狙って釣りをしています。三十路の坊主髭。

奇妙な予感

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あの日のあの魚の事で気持ちが落ち着かない。当たり前だ。色々考えたり、人と話したりしてるがまだ整理できてない。

 

時間の経過と共に、生々しい感覚や記憶が薄らいでいく、あれを本当に釣ったのか?白く霞んでいくかのような記憶の映像の劣化から、今のうちにしっかり思い起こして、この感覚をどこかに刻みつけておかないといけないと焦る。

 

 

自分はスピリチュアル的思考がとても嫌いだけど、実際あの日の朝、何か怖いものを感じた。何だろう、何か起こるのではないか、自分がもしかしたら死ぬんじゃないか、いやまさかな。そんな奇妙な予感のような感覚があった。そんな感覚は今まで一度も感じた事が無い。

 


磯に向かう道中、その感覚を分析する為に不安要素を洗い出す。思い当たるのは、磯足袋のピンの減りの事だけ。一度家に帰って新品に交換する事も考えたけど、ピンを確認してみると何とか大丈夫そうだったので、いつも以上に慎重に、安全第一を意識して磯に向かった。

 


12/9

6:45-9:00、中潮干潮4:19

風は東北東5m弱からどんどん弱まっていく予報。

波高は1m以下。7:00頃、csp175hsに足元で出るも乗らず、潮は効いてない。ダツの反応はチラホラ。リーダー先端に少しだけ表面に傷が入るも、いつもより太いしまあ大丈夫だろうとそのまま釣りをする。

 


8:20頃、意外と風が弱まらず、少しレンジを入れたかったのでボアーのクリアにチェンジ。(背中はピンクに塗っている)

中央立ち位置から沖に投げてるとダツが当たった後、引ったくられる、そのまま沖へ。なかなか走りが止まらず完全にサメと判断。長期戦を覚悟する。

 


どうにか止まってから少しずつラインの回収をしつつドラグを1/4回転締めドラグ値を上げる。左右の手を交互に休めつつ、じわじわ回収する。なんせサメだと思っているから、どうしようか考え始める。時折突っ込むが優しく対応。力むと疲れるから体力温存だ。続けていると少しずつ寄ってくる。

 

途中、少し右の沖で根擦れの感触が伝わってくる。おそらくブレイクラインだ。(以前カヤックで魚探を掛けて確認)テンションを掛け過ぎず、ラインを送り過ぎず、様子を伺っているとそれが無事無くなる。

 

引き続きじわじわ寄せてくる。

 

すると今度は左に行き始めるが、やばいゾーンに行く前に足場を移動、ロッドとラインの角度を確認して調整していると方向転換、じわっと右へ。(過去に左でも右でも切られた経験あり)

 

この辺でもうあまりラインを引き摺り出さなくなってきた。そのまま右に行こうとするからロッドとラインの角度をまた調整していると方向転換し頭がこっちを向く、ここだ、とラインをどんどん回収し淡々と浮かせにかかる。

 

遂に魚影が見える。何故か青い、ん??何かしょうもない期待感が一瞬頭をよぎるが無視、ここまできたら最後まで期待はしない、どうせ青いサメだと思ってライン回収を続けると違うモンが浮いた、

 

GT、それもデカイ。

 


ここからだ、ととにかく冷静に、全力で集中する。最近ポロリが続いていた、こいつは絶対とりたい。ランディングポイントに誘導してからドラグを緩める。(ウネリで体勢を崩したり変な負荷が掛かって身切れ等でのポロリを回避する為)

 


大きめのセットが来たらそのままタイドプールに入れようと焦らず待つ。

 

しかしセットが来てもなかなか入り切らない。

 

やっぱり右の割れ目にはめようと作戦変更して足場移動、がそれもなかなかハマらない。

 

と思っていたら大きめのセットが来た。

それにタイミングを合わせて魚を寄せるとタイドプールにドーンと入った。すかさず移動して必死でリーダーを掴み、ランディング成功!

 

 

ッッッシャァッ

 

 

何度も圧縮した声が出る。

 

デカイぞこれ。

予感はこれだったのかと一瞬考えるが、さっと流して油断しないよう努める。

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セルフタイマーでの写真は難しいと思い、動画で撮影をする。今回の写真の大半は動画のスクリーンショット。(そのデカさから持ち帰るのは既に決めていた)

 

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簡易的に量ると42-3kg?(あとで映像確認すると46とかは出てた)

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↑岩の高低差を利用して量る、が魚が岩に触れているのでしっかりは量れない。

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背負子を忘れた為、適当にリーダーで大きな輪っかを3本作り、魚をその辺の岩に括りつけ一度帰る事にする。淡々と片付け、とにかく冷静にいようと努力する。山を上がり、車に乗り込み、一旦帰路につく。家は遠い。

 

途中、奥さんに電話し「今日は一日ください」とお願いする。それと解体や燻煙の段取りも意識し始め、連絡をする。

 

家に帰って背負子、トロ箱、ブルーシート、無駄なポケット等無いカヤック用ライジャケ、固定用ベルト等を準備して再び磯へ向かう。

 

11:00頃到着すると予報に思いっ切り反して風が強まり白波が立っている。

 

予感はこっちの方だったか、と回収不可の可能性を感じた。その何とも言えない切ない気持ちと焦る気持ちを必死に抑えて磯へ。

 

下りて海を見ると、どうにか魚のある場所まで行けそうな感じ。急いで向かうと魚はまだタイドプールの端にハマっていてくれた。良かった、少しホッとする。

タイドプールに入り込むウネリの影響か、括っていたリーダー3本の内1本は千切れて消えていた。

 

風はなかなか強い。ウネリが強まる可能性も高く、あまりノンビリもしてられない。

 

急いで魚を背負子に固定し、その場を離れようとするが、焦っているのかしっかり固定し切れない。ある程度固定して背負ってみると少しだけ魚がズレたが一応固定はできているような。

 

その場を離れるのに一箇所難所がある。そこはウネリが上がってくる場所で、いつもならさっさと通れる場所だが、今回はかなり重い魚を背負っている。海に落ちるとかなりマズイ。最悪倒れるならこっちだな、でその後はこうしよう、とイメージをする。

 

風が吹き、魚が煽られる、魚が少しズレる。バランスが変わる。恐怖しかない状況で、あの予感はここか、とまた思ったがタイミングをしっかり見て、覚悟を決め難所に突入する。

 

一気に勢いで突破を図る。バランスを崩しそうになりながらも必死に歩を進めると、どうにか難所を越える事ができた。

 

これで一安心だ、そこで一度ベルトを解き、固定し直す。

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大きい魚を背負っての山道は本当に酷だ。体が破壊されそうだったし、尻尾が木に引っ掛かってバランスを崩して滑落、も現実的に十分に考えられたから休み休み慎重に登った。

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死にそうになりながら登る。

 

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車に着いたのが13時過ぎ。

ここまで来てようやくちゃんとホッとしたかな。

 

 

その後、釣り具の岩川に連絡し、検量へ。

 

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40は超えただろ、くらいに思っていたので結果が出た時には本当に驚いたし、何度も確認してしまった。もう信じられなくて。

 

検量結果

 

全長149.5cm

重量46.2kg

 

磯から、ルアーで、こんな夢のようなサイズを釣る事ができた。

 

運が良かった、本当に。運が味方してくれなきゃ絶対獲れなかったと思う。

 

GTが好きで好きで仕方なくて、ずっとGTの事を考えて、GTを釣る事にひたすらこだわり、ブレずに自分ができる事を継続的に泥臭くやり続けて来て本当に良かった。

 

これまで応援してくれた方々、本当にありがとうございました。特に東京の相棒、屋久島の相棒、あんたらがいなかったら釣れてないよ、ありがとう。

 

そして勿論かなり自由に釣りに行かせてくれる家族、、感謝しかないです。

 

取り敢えずしばらくはじっとしてから、引き続きボチボチやっていこうと思います。付き合いのある皆様、今後とも宜しくお願い致します。

 

タックル

ロッド: MCワークス RB106XX

リール: ソルティガ 18000P

ライン: サンライン シグロン8  8号

リーダー: ナイロン80号

ルアー: ボアーSS195

フック: デコイ Y-S22,5/0(フロント) 4/0(リア)

 

 

 

 

P.S.魚拓もとってもらった。

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そしてその後は、、

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12/9 解体、ブロックに

12/10 ブロックをカット、塩胡椒

12/11 スモーク

12/13 パック

とやり遂げました。
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自分の釣りは全てが終わるまでがとても長い。

 

自分で釣って、持ち帰るやつはちゃんと自分で持って帰って、自分でバラして、自分で処理する。

(燻製にする環境がある事は本当にありがたい)

 

 

流石に、、疲れた。。

 

 

 

 

 

 

 

12/25追記

 

気持ちの整理ができました。

46kgを釣って、正直どうしていいか良く分からなかったけど、分かりました。それは次の一匹を釣る事でした。

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日々の釣りに戻り、これからもボチボチやっていきます。